腹囲「合格」でもメタボ指導

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を予防するための特定健康診断(メタボ健診)で、厚生労働省は腹囲が基準値未満の場合でも高血圧などの異常があれば、保健指導の対象とする方針だ。やせた人の脳卒中や心臓病などの発症リスクが見落とされがちなためだ。具体的な指導法を検討し、2018年度から開始する。

メタボ健診は08年度に始まった。生活習慣の改善などの保健指導の対象となるのは、腹囲が男性なら85センチ以上、女性なら90センチ以上か、身長と体重から計算する体格指数(BMI)が25以上であることが前提だ。さらに血糖や脂質、血圧で異常が認められた場合に指導対象となる。

ただ腹囲が基準値未満でも高血圧や高血糖などを抱える人もおり、生活習慣病のリスクが見逃されているとの指摘があった。

厚労省の検討会では東京大学病院の門脇孝教授(糖尿病・代謝内科)が、約3万人の男女の追跡調査結果を報告。それによると、腹囲が85センチ未満の男性で高血圧などの危険因子が1つ以上ある人は、持たない人み比べ脳卒中や心筋梗塞など循環器疾患の発症リスクが1.78~1.91倍となった。

一方、85センチ以上で危険因子が1つあるなどメタボ健診で動機づけ支援に該当する男性のリスクは1.66倍と、非肥満者と大差なかった。女性では「90センチ未満・危険因子が1つ以上」で循環器疾患のリスクは2.12~2.54倍。男性と同様、動機づけ支援の該当者らと比較しても大きな違いはみられなかった。

調査では腹囲が基準値未満の場合、高血圧に最も注意する必要があることも分かった。危険因子を1つ抱える男女を調べると、男性の62.3%、女性の55.7%を高血圧が占めたためだ。

こうした結果を受け、厚労省は17年夏ごろに新たな保健指導プログラムを取りまとめる。減塩指導や運動不足の解消などが盛り込まれる見通しだ。門脇教授は「喫煙者が循環器疾患を発症しているケースが多い」と説明しており、禁煙対策も重要になりそうだ。

メディカルNOW(日経2016.6.5朝刊)より